柴田さんのSTS−135取材 スペースシャトル最後のフライト
2011年7月20日 アトランティス帰還予定前日 朝、久しぶりに目覚まし時計の音で目を覚ます。いつもはセットした時刻よりもずっと前に起きてしまうものだが、今回はさすがに起きられなかった。まあホテルに入ったのが午前1時で、寝たのが同3時頃。そして今は朝8時だから仕方ないだろう。 シャトル着陸に関するイベントが開始されるのは夜なので、こんな朝早くから行くのもどうかと思ったが、とりあえず様子を見たいのでケネディ宇宙センターに行くことにした。朝飯は日本から持ってきたカロリーメイトと、部屋に備え付けのコーヒーで済ませる。 ちなみにホテルのコーヒーメーカーは要注意。意外に飲む人が少ないのか、下手すると忘れられて洗っていないことがある。とある日の某ホテルでは、コーヒーメーカーの中に数日経過したと思われるバッグが…。まあとりあえず、最初に自分で洗って使うのがいちばんいい。 (※柴田がアメリカのホテルで真っ先に確認している点は、鍵がかかること、バス・トイレに故障が無いこと…などと、日本とはだいぶ違っている。また1階の部屋の場合は、小動物が入り込んでいないかを確認することもある。以前、廊下を歩いていたら、小さいトカゲがドアの隙間から走り込んでいくのが見えたので念のためである) 出発すると405号線(コロンビア・ブールバード)がやたら混んでいた。原因は途中で行われている工事区間だけではないな。ビジターコンプレックスは9時から開いているから、そこに向かう人達だろう。実際、ビジターコンプレックスを通り過ぎた検問所付近では交通量ががくっと減る。 そこから見慣れたケネディ・パークウェイ・ノースを北進し、VAB手前で左折してニュースセンターに入る。今日はニュースセンター前の臨時検問も無いようだ。 …おや、プレスの駐車場に車がたくさん停まっているぞ。やはり着陸取材の人達だろうな。駐車場が完全に埋まっているわけではないが、車が大きいので前後左右の空間確保に苦労した。下手に狭いところに入れたら、出られなくなる危険すらあるからなあ。 そしてニュースセンターに入ってみたら、たまたま机が空いていたのでそこを確保する。混んでいるなかで、これはとてもラッキーであった。 (※広報担当者に申請すれば指定席が得られるとのこと。アメリカのメディアが使っていた長机のことである) ここではインターネットが使えるので、すぐにノートパソコンを広げて情報収集を始めた。そのまま昼過ぎになり、カフェテリアがもう開いている時間帯だと思い出し、慌てて食いに行く。報道にとって施設内でまともな食事にありつけるのは、ここだけなのだ。 しかし少し遅れたためか、カフェテリア内は昼食をとるNASA職員で大混雑していた。そのため、ここでは食べずにニュースセンターに持ち帰ることにして、ハムとレタスをロール状に巻いたパック入りのものと、デザートとしてリンゴ、そしてオレンジジュースを選択。12ドルちょっとを支払って外に出る。以前は歩いて往復していたが、最近は横着になって車を使っている。特に今回は暑すぎるので、歩いて往復したら水分が抜けて熱射病になりかねない。 んで、ニュースセンターに戻ってみたら、着陸取材の申請用紙が今まさに出たところだった。うわ、カフェテリアでまったり食ってこなくて良かった。 これまでの着陸取材は記名などは不要だったらしいのだが、さすがに今回は報道関係者が多いので制限がかけられるようだ。しかも取材内容によって何種類も出ているのでニュースセンター内は大混乱である。ええと、着陸とそのあとの格納庫までの移動に記名してと…あれ、ロッキード・マーチンのオリオン・カプセルも混じってるけど、これは何の取材だろうか。とりあえず全てに記名したが、時間帯が重なるイベントもあって全てに出るのは不可能な様子。 まあ全て登録したから、後はとりあえず出たとこ勝負で…なんて思っていたら、なんとメールで取材申請しなければならないものがあると教えられる。うわー、気づかなかった! 何故か頭にFW(転送)がついたNASAからの通知を再度見ると、午後5時まで申請しろと確かに書かれていた。お知らせにしては珍しく長文だったため、斜め読みして気づかなかったぜ。しかも返信が必要と書かれているのは真ん中頃だし。なんてこったい。 まだ午後3時なので締め切りには余裕で間に合うけど、どうやら既に満員になったという情報を聞いた。しまったなあ、出遅れたなあ。とりあえず返信したけど、記者達の噂によると恐らくもう無理らしい。 これは滑走路上でNASA長官がスピーチが行うときの取材申請らしいが、セキュリティ上そういった扱いになったようだ。長官の談話はもちろん英語なので柴田がすぐ判るようなレベルではないが、着陸直後のシャトルを近距離で撮影できるチャンスのはずだよなあ。惜しいことをした。 どうにもならないので、それらは運を天に任せ、仮眠をとるためホテルに戻ることにした。なにしろ渡米時のドタバタで、まともに寝ていないのでふらふらだ。しかし着陸取材は明日の午前2時から始まるので、ちょっと寝たらすぐ準備を始めなくてはならない。 まったく忙しい話だが、これで飛行機を1日遅らせていたら、もっと大変なことになっていたな。なにしろ半日遅れただけで、体力が持たないかもしれんほど忙しくなってしまったし。それになによりメールのチェックし忘れも回避できたはずだよなあ。 ホテルに戻る途中、いつものウォルマートに寄って食料と飲み物を調達。今回の部屋には冷蔵庫と電子レンジが無いので、選択肢がかなり限られるのが悩みの種。あ、いつものターキー&ベーコンのパンが売り切れて無いなあ。前回の渡米後に「おいしい」なんて書いたから、観光に来た日本人に買い占められた…なんて事は無いだろうけど。 という事でハムとチーズが入ったパンを選択する。チーズは好みによって当たり外れがありそうで怖いけど、他にまともそうな選択肢が無いのよねえ。 あと格安のバナナを一房と、夕食時の飲み物として1リッターのオレンジジュースを選択する。このオレンジジュースだが、蓋にタグがぶら下がっていて「try me」などと書かれている。恐らく「試しに飲んでみて!」といった意味だろーけど、オレンジジュースにいちいち試す必要があるとすればかえって心配になるよねえ。どちらかというと「挑戦しなさい」とか「かかってきなさい」に見える(笑)。 そして、どことなく味が日本の物と違うんだよねえ。オレンジ以外に何が入っているのだろうか。 それでも1リッター入りという小容量ものはなかなか他には無くて、大抵は1.75リッター入りで1日分としては多すぎるので小さいという点で重宝した。価格からすれば大きい方が安いのだろうけど、今回は冷蔵庫が無いので保存がきかないのだ。いくら部屋の冷房が強力だとはいえ、冷蔵庫並みの温度にはできないし。 そして明日の取材のお供にと、先日までに大塚さんが苦戦したリプトンのグリーンティーを選択。さすがにガロン入りではなく、600ミリリットルのものだ。これならがぶ飲みをしないだろうという期待をこめている。 あと疲労回復のために甘いもの…と思ったが、これまでの滞在でかなりの量のチョコを食べたので自重する。とはいえ、一時帰国したときには体重は減っていたんだがなあ。 (※甘いもの:笹本祐一さんの言うとおり、こちらでは「甘い・辛い・でっかい・油っこい(脂っこいも含む)」の味付けばかりなので、安全策では甘いものになる場合が多い。特に今回は、普段は食べないM&M'sのチョコレートを一年分以上食ったような気がする。こちらのものは一袋の量がずっしりくるくらいに重いのだ。日本の売店で売っているものが試食品に見えるほど。これは「甘い」と「でかい」の合わせ技といったところか。ただし、自販機で売ってるM&M'sの中には小さい袋のものがあった。もしかしてこれが日本仕様…?) ホテルに戻って食事にしたが、昼に食ったものがまだ腹に残っている感じで食が進まない。それにやっぱりチーズが大量に入っているものはきついね。という事で、申し訳ないが残すことにする。もったいないお化けが出てきそうだけど、この国の食べ物を腹いっぱいに詰め込んでから出てきやがれ(笑)。 (※ここで残さず食べるのは、逆に健康に悪いという、矛盾のような状況である) そのあとネットをつついていたが、どうにも眠いのでベッドに潜り込む。 …21時に目覚ましをセットしていたのに20時には目覚めてしまった。とりあえず眠気はとれたようだが、これからの長丁場に向けて大丈夫かなあ。 すぐにネットでシャトルの状態を確認したが、いまのところ着陸に向けて問題は無い様子。着陸の条件はいろいろあるけど、21日の着陸機会はケネディ宇宙センターだけなので、実行するかしないかの心配だけで済む。ただし、22日は最初の2回はケネディ宇宙センターだが、後半3回はエドワーズ空軍基地となる。そうなった場合、こちらがエドワーズ空軍基地に向かっても間に合わない。柴田にとって最初で最後の機会だから、なんとかケネディ宇宙センターに着陸してほしいなあ。 (※シャトルの着陸は、打ち上げと違って大幅な延期が無いため、渡米の日程を決めるのが比較的楽である。ただし、着陸地点がケネディ宇宙センターになるか、あるいはエドワーズ空軍基地などの代替地になるかは運次第という面もあった) 今の季節は夏時間もあり、フロリダの空は夕方になってもなかなか暗くならない。先日も19時というのにずいぶんと高い位置にある太陽を見て、本当は昼なんじゃないかと思うこともあった。それでもさすがに暗くなった21時過ぎに、ケネディ宇宙センターに向けて走り出す。 途中で何か食べ物を買うかとも思ったが、どうにも食欲が無いのでパス。日本から持ち込んだカロリーメイトと、ウォルマートで買ったお茶が頼りとなる。まあ会見場の自販機にチョコレートや菓子類もあるからなんとかなるだろ…。 渋滞もなくスムーズに入った検問では、担当官に「こんなに早く来たのか」と笑われた。しかし記者室に入ってみたらば、既にかなりの数の記者が来ている。いや、もしかして居残りなのかな。しかし持ち込んでいる飲食物が、カフェテリアでは買えないものも混じっている様子なので、一旦外に出た記者も多いのだろうなあ。いやあ、皆気合いが入っていてよろしい。 という事で、ケネディ宇宙センターに滞在したまま日付が変わるという珍しい体験をする。いやまあ、近くのホテルに居るのと大差無いんだけど(笑)。 打ち上げの終わった39A射点。 翌日に進む 打ち上げ 2011年7月5日 まず都内へ出発 2011年7月6日 三度目のフロリダ 2011年7月7日 RSS開放予定日 2011年7月8日 STS−135・アトランティス打ち上げ日 2011年7月9日 オーランド 2011年7月10日 オーランドからタイタスビルへ 2011年7月11日 休みの日 2011年7月12日 警察博物館 2011年7月13日 ディスカバリー号との再会 2011年7月14日 ビジターコンプレックス 2011年7月15日〜16日 オーランドから日本へ 着陸 2011年7月18日 また東京へ 2011年7月20日 アトランティス帰還予定前日 2011年7月21日 スペースシャトル最後の着陸 2011年7月22日 休養日のはずが観光日になる 2011年7月23日 ケネディ宇宙センター見学ツアー 2011年7月24日〜25日 帰国 メニューへ戻る
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