柴田さんのSTS−135取材 スペースシャトル最後のフライト
2011年7月9日 オーランド せっかくオーランド国際空港空港のすぐ近くまで戻ってきたのだが、帰国のためではなくただの滞在である。とはいえ、もし打ち上げ日が今日や明日になっていたら、オーランドとケネディ宇宙センター(KSC)との往復になっていたはずだ。移動距離が片道で50マイル(約80キロメートル)にもなり、KSCのお膝元であるココアやタイタスビルとは比較にならないほど大変だったはず。 実は、この先に予定しているタイタスビルへの滞在時期まで打ち上げが延びてくれれば楽だなと思っていたのだが、こちらの読みがいい方向に外れて予定通りに打ち上がってしまったので、こうしてアメリカに滞在する事になっている。 帰りの切符を後で買えば良かったかもしれないが、直前に買うと往復の料金より高くなるという事もあり、大人しく帰国日予定日まで過ごすことにしている。買う時期にも左右されるが、片道の料金が往復より高くなるって、いったいどんなカラクリになっているのだろう。 更にシャトルの帰還取材が隣接してしまい、一旦日本に戻るスケジュールが問題になっている。いっそ日本に戻らない方がいいのだが、どうにもならない事情があるのよねえ。 さて、ここオーランド周辺は巨大遊園地などを含む一大観光地でもあるのだが、打ち上げ取材に続いて未明までロケットまつりを視聴していて寝ていないこともあり、休養日と勝手に決め込む。まあ、男二人で遊園地というのも寂しいし、いつか観光で来たときのためにとっておこう。…なんとなく、またケネディ宇宙センターに行きそうな予感はするが。 眠いと言いつつ、朝6時から提供される無料の朝飯だけはしっかり食いに行ったが、妙にもちもち感いっぱいのパンと、小さいシリアルのカップに牛乳、オレンジジュース、そしてデザートのリンゴ1個で済ませてしまう。いや、他のものが謎すぎて、手が出せなかったというか何というか。 とにかく、ひとつひとつの食い方の手順というかマナーが判らん。日本でも生卵や納豆には醤油を入れてかき混ぜろとか、蕎麦はすすって食えとか、いろいろ細かい作法があるのだから、こちらでも当然あると見るべきだろーなあ。まあ、こちらの心配をよそに、日本人並みのマナーで食べている人もいたから、気にしない方がいいのかもしれないけど。 それと味に関しては普通だった。これは大いに評価できる。今後、もしこちらに滞在することになったらまた使ってもいいかな。 昼飯は隣のマクドナルドで簡単に済ませた。ハンバーガーは食い慣れていないのでよく判らないが、とりあえず日本と殆ど変わらないようだ。想像では倍くらい大きいのではと恐れていたのだが(笑)。ドリンクとポテトはちょっと多いような気がするけどね。 夜はもう少しマシなものを食おうとネットで周辺のレストランを調べる。観光地なんだから、おいしいものがあるだろうと思ったのだが…。 しかし、うーん、なんだかよく判らないなあ。大体にしてアメリカ人と日本人で味の評価がかなり異なるから、こちらで大評判と書かれていても不安だし。 その他にもドアにデリバリーのチラシが2種類ほど放り込まれてきたのだが、どちらもピザなどの油っぽいモノばかりだ。しかも微妙に値段が高いから、好みから外れていた場合のダメージが大きそう。大当たりなら、今後の主食ともなるんだけど、運次第だな…。 まあ、運を天に任せるよりは選択肢が多いものをということで、レストランがいくつもあるオーランド国際空港に向かう事にした。 えーと、カーナビの指示に従うと料金所を避けられないか。仕方なく1ドルを払って空港入り口へ。高速道路の利用は1マイルも無いので、とっても損した感じ。料金所を迂回するとか、いろいろと手はあるんだけど、初めての道なので安全策をとった。その後、空港内の駐車場の位置がよくわからず難儀したが、なんとかパーキングと表示された所に入り込んだ。空港ビルに行くエレベーターの位置からして、ここはレンタカーを受け渡しエリアの上だろうか。行き来が楽でいいけど、一等地みたいだから駐車料金が怖いなー。 さて、空港のレストランだが、数が多くて悩むところ。しかし店の選択肢が、価格の安いジャンクフードか、あるいは高価で礼装が必要じゃないかと思えるほどのレストランと極端なものばかりで、どうしようかねえ。いや、礼装なんて荷物になるような代物を持ってきているわけがないけど。 安い方も種類が多すぎてよく判らないが、STS−133のときに迂闊に食べ過ぎて腹痛を起こしたあの店には入りたくないなあ。いやあれは自分のミスだけどさあ(笑)。 いろいろと迷って彷徨ったが、ようやくレストランとハンバーガーショップが合体したような店を見つけて入る。ハイアットホテルの前にあるエスカレーターを登ったところのChili's Tooだったはず。 んで、柴田はクラシックと銘打った野菜の多そうなハンバーガーを、大塚さんは魚料理を注文した。この店の得意分野は、いかにも辛そうな唐辛子マークが描かれたメニューだと思うのだが、これだけ味付けが濃い国で、更に輪をかけて辛いものを頼む勇気は無い(笑)。 んで、魚料理はおいしいけど量が少なくて、ハンバーガーもおいしいのだが、こちらは量が多くて食うのに苦労した。アメリカでは肉と魚はこういった配分になるのかな。 それと少し上品な感じの店内なので、気兼ねなくハンバーガーにかぶりつく事がためらわれる。まあ気にせず食らいつけばいいのだろーけど、慣れないナイフとフォークでハンバーガーを解体して食べることになった。というか、こうしないと食べられない程の大きさなのだ。いやあ、おなかいっぱい。 (※持ち帰りができれば良かったのだが、ハンバーガーはともかく魚料理は無理だろう) 支払い後は長居せず、すぐホテルに戻ることにした。NASAの売店で買い物をした記憶があるけど定かではない。急いだのは駐車料金が予測できなかったためだが、飯を食った程度の時間で5ドルというのが高いのか安いのかわからんな。 このとき、駐車場から見えた夕焼けが、空一面が真っ赤になっていてとても綺麗だったのが印象的である。 帰り道は高速道路の料金所を避けて遠回りをしてみたのだが、これが失敗で細い上に急カーブがあるルートだった。いや、日本なら普通のカーブに分類されるのかもしれないが、見知らぬ道で大型車ばかりのここでは怖い。なんとか無事にホテルに戻れたが、時間と安全という面では、高速道路を使った方が良かったのかもしれない。実質的に料金所だけ利用することになるけどね。 ちなみにこの日、食った飲んだ以外に何をしていたかというと、打ち上げの時に生放送をしていたニコニコ動画の録画を見ていた。これがあまりにも長くて、一日の活動時間が無くなるほどだったのだ。 さすがに柴田は出ていないが、大塚さんが引っ張り出されてインタビューを受けていたり、マイクが混信しておかしなことになっていたり、まあとにかく笑える中継になっていたのはさすが。打ち上げの様子もきっちり撮影していたし、これでは後から動画を投稿しても誰も見ない訳だよなあ(笑)。 もっとも、これはいろいろな問題を含んでいる。手軽に投稿でき、また全国規模の生放送を個人ができるという時代を切り開いたニコニコ動画だが、それ自身が既存の放送局に近い体勢で放送をしなければいけなくなっている。CMも無くて内容も出たとこ勝負の手作り感いっぱいの放送であっても、NASAへの取材などは、マスコミとしての登録がちゃんとできていないと今では不可能。それが出来ていると言う事は、つまり報道として認知されているということだろう。 ニコニコ動画自身が放送局を目指しているならいいのかもしれないが、個人視聴者をサポートするような仕組みもあっていいかもしれない。とはいえ、だいぶ前から準備しないとケネディ宇宙センターに入れないので、他の方法を検討しなければならないなあ。 (※911テロ以前は報道ビザ無しでも入れたらしい。今では報道ビザ取得が必須であり、海外の一般人が取材するのは難しくなっている。もっとも、申請する項目の中には、それらが緩和されているのではないかと思わせる部分もあるのだが、いまのところ試してはいない。もしパスポートだけで入れるようになれば、取材したい人も多いだろうな。今のところtweetupに当選すれば一般でも入れるのだが、運次第というのが問題だろうな) また視聴者の要求もだんだん高くなっている。ただ投稿するだけでは関心が集まらず、データを用意したり画像の加工をしたりする事などが必要になってきている。いやもう、今ではリアルタイム解説が必要な程で、そのうち未来予測までしなければならなくなるかもしれない。タイムマシンに対する需要が発生するなあ。 そして打ち上げ後数時間で投稿というのは既に遅すぎで、生放送をする勢いで投稿をしなければならない。画質もハイビジョン対応で処理が重くなっていて、パソコンやカメラなどの機材への投資も大きくなっている。もちろん投稿のための通信回線の確保も必要になってくる。 まあ、ロケット打ち上げというイベントは人気があるだけに競争も多いのだが、いろいろな動画撮影があることを承知した上で、まんべんなく楽しむ姿勢でいたいねえ。それになにより柴田としては、ネットで視聴して興味を持ったら、次は打ち上げを現地で見てほしいのだが。 柴田は掲載の都合もあって静止画が重要になっており、動画は二の次になっている面もある。さすがにビデオと一眼レフの両方を同時に、しかも最良の構図になるように操作をするのは難しく、どちらかに偏った撮影になるのは仕方ない。そういえばH-IIAロケットでも7号機から14号機辺りまでは動画に重心を置いていたためか、ろくな静止画が残っていない。そして最近は静止画に移行したため、動画にろくなのが無い。うーむ。 シャトルでも静止画と動画でいろいろ試したかったが、今回で終了となり果たせぬ夢となってしまった。そういった点から考えると、100回以上もいろいろと試すチャンスがあったアメリカの記者達が羨ましいねえ。それに他のロケットも含めると、膨大な数の打ち上げを撮影する事ができるし。 だから打ち上げが日常化してしまったケープカナベラル周辺の方々に、あんたら世界一羨ましい所に住んでいるんだぞーっと声を大にして言いたい(笑)。 まあ撮影に専念するのも考え物で、笹本祐一さんによると、オフィシャルが良い画質で迫力ある写真を撮ってくれるから、我々は肉眼で見ていればいいと豪語されている。打ち上げを本当に楽しむならそれが一番だろう。 とはいえオフィシャルでも失敗することがあるし、撮影機材が最新という事でも無いので、できるなら自分の手で最良の画像を残しておきたいねえ。たとえそれが実際の見え方…炎や音…を再現できなくても、自分が何をしていたかの記録にもなる。そう、オフィシャル画像は他人の記録であり、自分が何かを残した訳ではない。面白い事なら自分で記録に残そうというのが、柴田が撮影を続ける理由のひとつでもある。 (※H-IIB初号機打ち上げの際、JAXAの生放送では感度設定を誤ったのか真っ白な画面になっていた。動画や静止画で真っ白になると後で救えないので大変だ) そんなことで1日が終わった。 オーランド国際空港の夕焼け。 翌日に進む 打ち上げ 2011年7月5日 まず都内へ出発 2011年7月6日 三度目のフロリダ 2011年7月7日 RSS開放予定日 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