柴田さんのSTS−135取材 スペースシャトル最後のフライト
2011年7月18日 また東京へ 自宅でゆっくりする暇も無く、新幹線で都内に向かう。しかし昨日といい今日といい、もの凄く混雑しているなと思ったら、日本は三連休の真っ最中だったのだ。いやあ完全に失念していたわ。 そのためか、東京駅のコインロッカーに全く空きが無くて、秋葉原で予定していた買い物を中止した。次の取材のためメモリーカードを買いたかったのだが、今回はなんとかなるはずと思う事にする。 これに関しては、残数を気にせず撮影ができる状態が基準だ。残数が少ないからと躊躇して、撮りたいシーンを逃すのは駄目だからね。 このあと、羽田近くのホテルに入って明日に備える。さすがに疲れてしまい、再度出かける気力は出なかった。これからの旅を考えると、無用な体力消耗は避けたいし。 懸念材料は台風が近づいてきていることだが、予定通りならば影響が出る前に日本を脱出できるはずだ。 2011年7月19日 大波乱の再出発 朝3時に起き出して準備を整え、ホテルの送迎バスで羽田空港国際線ターミナルに行く。手続きやら何やら殆どが前回と同じなので慣れたものである。今日はやたら蒸し暑かったので、展望デッキで写真を撮るのをやめたのが前回との違いといえば違い。しかしこの蒸し暑さは、台風から南風が吹き込んでいるのかな。 んで、搭乗口に指定されている108Aに向かい、飛行中に飲むお茶を買おうとしたらば、売店のシャッターが閉じていた。さーて、どうしたものかと思ったが、自販機をみつけたのでそれで買う。売店ではいちいちパスポートを見せる必要があるが、これはその必要が無いので少し楽かもしれない。 なお、今回は柴田の単独取材で、大塚さんは参加していない。tweetupでの参加は打ち上げと着陸が別扱いなのだ。両方に当選すれば参加できたのだが、さすがに競争率が高くて無理だったと思われる。また、着陸時期は大塚さんの取材可能な期間をオーバーしているようなので、最初から申し込まなかった可能性もある。柴田は記者登録を済ませてあるので、打ち上げから着陸までケネディ宇宙センター内で取材ができる。いちど日本に戻らなければならなかったのは、打ち上げ後の事を考えていなかった柴田のポカであるが、最初からうまくいく前提で予定を組むのも危険なので、なかなか難しいことでもあった。 待合室でノートパソコンを広げているうちに搭乗時間になったが、周囲を見渡すと前回よりもさらに乗客が減っている気がする。大丈夫かなあ、この路線。とても便利なんだけどなあ。 そして空港内の複雑怪奇なタキシングの後、パワーをあげていよいよ離陸…しない? あれれ、離陸を中止してぐるりと回頭したぞ? 何事かと思っていたらアナウンスが始まった。 『問題が見つかり修理が必要なので、スポットに引き返します』 あちゃー、デトロイトで乗り換えの便に間に合うのかな…と、その時は軽く思っていた。 しかしそんな生易しい故障ではなかったのである。最初の不具合を直したらまた別の不具合が見つかり、悪い事にそれは部品交換を必要としていた。しかも他社から部品を融通してもらうとのこと。デルタ航空はまだ羽田に整備拠点を持っていないのかもしれないな。 そして2時間も経過した頃にようやく部品が見つかったのだが、それが何が悪いのか一向に飛行機まで届かない。下手すると成田から持ってきた方が早かったのではないか…って、まさか成田くる途中で渋滞につかまったとか? 部品を待っている間にも不具合の修理をやっているのだろう。機内の電源が落ちたり、空調から吹き出すエアにオイルの焼けた臭いが混じったり…って、いったい何が壊れたんだーっ!? (※具体的な説明が無かったので故障箇所などの詳細は不明) 停電で各座席に設置されている液晶モニタも暗転し、そのあと再起動することもある。意外と珍しい経験かもしれない。もちろん停電はいつも突然なので、映画を見ていると大変だったのだが、とりあえずカーズとガリバー旅行記を見ている。このまま選べる映画を全て制覇してもいいが、飛行中の楽しみまで使い果たすのも問題だと、クラシック音楽に切り替える。ホルスト作曲の「吹奏楽のための組曲第1番」という日本ではマイナーな曲だけど、柴田を音楽の世界に引き入れた曲のひとつでもあり、懐かしく聞いていた。つか、なんでこの曲がデルタのライブラリに入っているのか不思議だな。アメリカでは人気があるのだろうか? さて、羽田のスポットに居座り続けてかれこれ3時間。飛行していたなら朝食が配られているはずの時間帯をとっくに過ぎたためだろうか、いつもなら飛行の中間地点で配られているハムをはさんだ小さなパンが出た。もちろん腹ぺこなので、あっという間に平らげる。おかわりと言っては駄目かな…。 そして今度は用紙が配られる。何事かと思ったら、見慣れた帰国時の税関申請用紙だ。これに羽田の免税店で買ったものを書けとのこと。えーと、つまり戻るってこと? 4時間を経過したので無情にもタイムリミットだそうだ。乗員が勤務(操縦)できる時間に制限があり、トラブルでの待機時間と、今からデトロイトに飛んだ合計時間がそれに引っかかったという事でフライトキャンセルになったらしい。あぎゃあ。 駐機場で飛行機を降り、バスでターミナルに戻って再入国手続きを…と思ったらば、入国管理局の職員がデルタ航空から何の連絡も無いので対応できないと言っている。離陸予定から4時間も足止めされていたのに連絡が届いていないのも不思議だが、どうなっているのだろう。結局、日本のパスポートを持つ人から入れと指示が出たが、どさくさに紛れて外国っぽいパスポートの人も入り込むという混乱ぶり。 そして見慣れた日本の入管を通過し、6時間程の海外旅行が終わる…つか、出国取り消しのようなスタンプが押されるだけであった。ははあ、キャンセルの時はこんな風にやるんだ。 さて、デトロイト行きだが、この機体を修理して明日の同じ時間に飛ばすとのこと。正規のデトロイト行きと同時に、もう一機飛ばすというのだ。編隊飛行してくれたら価値が高いのだが、まさかやることはあるまい。 んで乗客は品川プリンスホテルに宿泊しろとのこと。明日3時半に迎えのバスが来るらしい。柴田には似合わない高級ホテルで飯付きと至れり尽くせりなんだけどさあ、ちょっとまずいぞ。 というのも明日になれば台風が関東を直撃しかねない。つまりフライトがキャンセルされる危険がまたあると言うことだ。そうなればシャトルの着陸までにケネディ宇宙センターにたどり着けない可能性が高い。ついでに言うと、ホテルとレンタカーの変更も面倒だ。いやレンタカーはまだ日本語が通じるけどさあ、ホテルは英語オンリーでしかもキャンセルがきかないプランなんだよなー。まさかこんなことになるとは思っていないし。 (※翌朝の正規便と繰り越し便は、共に通常運行したらしい) という事でフライト便の変更を依頼する。そりゃホテルでの飲んだ食ったに未練(笑)が無い訳ではないが、それより確実にオーランドに着きたい。手段がまだ残っているなら、あきらめてはいかんのだ。 ところが、明日への振り替えも含めて乗客全員分の対応が必要なのに、デルタ航空の臨時窓口はたった二人での対応だ。だから時間のかかることかかること。それにキレかかった年配の方々が苦情を申し立てているのでさらにひどいことになる。えーと、人員を増やせというのは賛成するけど、それより何より早く手続きをやらせた方が幸せになれるぜ? んで、柴田に提示された振り替え便は、成田空港からアトランタへ、そこからオーランドに飛ぶものだった。えーと成田空港発が15時50分か。もうとっくに12時を過ぎちゃったけど、何に乗って成田空港に行けと? 『成田空港直通のリムジンバスのチケットをお渡しします』 そりゃいいけど、搭乗時間に間に合うの? 『えーと…』 あえて言わなかったけど、これから同様の乗客を集めて出発していたら確実に間に合いませんぜ。しかも不確定要素の多い高速道路を通って成田まで行くバスの時間なんぞ信じられるかい。 (※バスは、何事もなければ、そしてすぐ出発すれば余裕で着くはずだが、台風や渋滞を考えると運任せになりかねない) という事でせっかく作ってもらったバスのチケットは使わず、電車で行くと伝える。乗り場を聞くと、上の階に京急の乗り場があるというので走る。そしてすぐ乗る…って、その前に窓口で聞いてみよう。 えーと、これから一番早い成田行きは? 『このあとの急行が14時半頃に成田空港に着きます』 うわ、搭乗手続きが締め切られる時間ぎりぎりじゃないか。混雑する成田空港でぎりぎりの搭乗手続きをやれってか。そんな無体な…あ、スカイライナーを使う手はどうですかね? 『…モノレールとJRを乗り継いで日暮里からスカイライナーに乗れば13時44分に着きますね』 それだあっ! 慌ててモノレール乗り場に向かう。間髪入れず来た快速で浜松町までノンストップで行けたのは、かなりラッキーである。いや、この状況がラッキーかどうかは議論の余地があるけどね。 このあと京浜東北線に乗り込んだが、そーいや今は快速運転中だから日暮里で止まらんなあ。最も効率がいいのは上野だろうということで、そこから山手線に乗り換える。しかしこの山手線の電車って、さっき東京の手前で追い越してきたやつだな。浜松町で最初からこいつに乗っていれば乗り換え無しだったはずだ。まあ着くならいいや。 日暮里では大荷物を抱えつつ走り回って京成電鉄のホームに向かう。上野駅よりも乗り継ぎが簡単みたいだな。今まで知らなかったので、いい経験になった。このあと無事にスカイライナーの切符を買い、時間通りに成田空港に着く見込みが立ってほっとする。 あ、デルタ航空から示されていた最大3千円の補助金額をオーバーしちゃうけど仕方ないよな。 スカイライナーは日暮里から成田空港まで40分程度で駆け抜ける。短い時間とはいえ、これまでハラハラしてばかりだったのでようやく一息つけた感じだ。 ということでネットに接続してアトランタ空港の情報を見る。正式名称は「ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港」って、長い名前だねえ。まあ人の名前をつける事がよくある国ならではのことだな。 そしてこの空港もでっかいなあ。いや、でかいなんてもんじゃない。デトロイト空港よりも更に大きく、日本の主要空港を1箇所に集めたような巨大空港だ。 なにしろAからEまでのコンコースがあり、それぞれが国際空港ひとつ分もの規模がある。って、Aの前にもメインターミナルがあるぞ。なんて広い空港なんだ。各コンコースやターミナル間は、専用の交通機関で移動するようになっているが、国際線が着くコンコースEと、オーランド行きが出るコンコースAは特に遠い。これでは乗り換えにえらく時間がかかるはずだな。 アトランタでの乗り換えが間に合わないのではないかと思ったので、成田に着いたらすぐにデルタ航空の窓口で確認する。 『この場合、アトランタでの乗り換えに90分かかりますね』 うわ、随分かかるな。んで、このチケットの便は何分あると思います? 『80分ですね…』 混み合うと思われる夕刻に着く上に、初めての空港で標準時間以下の乗り換えをしろなんてアクロバット的な事は無理だ。という事で最初よりも一つ後の便にしてもらう。ほんとにもう… しかも成田に来るときに使った電車代は、領収書が無いと補助できないという。まあ当然なんだろうけど、聞いてないからやってなかったわい。3千円の補助が、こーして0円となったのである。急いでいたから仕方ないとあきらめるけど、事前に領収書がいると説明が欲しかったねえ。つか、suicaなどのカードやモバイル機器での支払いが一般化した今、領収書を必要しない確認方法が必要なのではなかろうか。 そしてアトランタ行きの乗り場に向かったのだが…なんじゃ、この黒山の人だかりはっ!? 羽田発のデトロイト行きとは桁違いの乗客がいるぞ。しかも隣のニューヨーク行きと合わさって物凄い混雑になっている。つまりこれから乗るアトランタ行きは満席か、あるいはそれに近い状態になっている訳か。 あっ、という事は…!! はっと思ってチケットを見たら…ありゃあ、やっぱり真ん中の席か。しかも窓側と通路側に挟まれた最悪の席だ。何が最悪って、トイレに行くときに通路側の人に必ず立ってもらう必要がある上に、窓際の人が立つ際にはこちらも譲らなければならない。このため寝るのもトイレに行くのにも制限がつく状態だ。機内の真ん中の列ならば、左右の通路が使えるので多少はマシなんだけど、この超満員では変更するのは無理だよなあ。 しかも… 『予約超過のため、明日の便に振り替えていただけるお客様はいらっしゃいませんか』 つまり席が足りないとのこと。売る前に気づけーっ(笑) 『明日の便に変更していただけるお客様には600ドルのクーポンとホテル、食事を…』 うおっ、けっこーいい額を出してきたな。しかし柴田がそれに応じた場合、デメリットがまだ勝っている。つか明日にしていいなら、最初からそーしているわい。 という事で、そのままB777に乗り込んだ。超過した席はどーしたか知らないが、何人かが再入国のためにゲートに向かっていたのでなんとかしたのだろう。 ちなみにこちらのB777は、羽田発のものより少し古いらしく、席にUSBのコンセントが無い。個別モニターに用意された映画や音楽のメニューは変わらない感じだけど、位置表示プログラムの表示方法が少し違う。既に何度も乗った身としては、映画などに変化が欲しいところだ。しかも両脇の席が大きいアメリカ人という中では、ノートパソコンを広げるのも難しい。何だか退屈しそうな予感がする…。 外は既に台風の影響が出てきて、風雨が強まっている。まだ離陸可能な状態だけど、もっと遅れたらどうなるか判らんなあ。 しかしまあ、それでもようやく離陸…しないね(笑) 滑走路に行く途中で止まってしまい、続いてアナウンスが… 『ワイパーが故障しましたのでゲートに戻ります』 わはははははは、またかーっ! さすがに成田は部品のストックがあるらしく、ワイパーのモーターを含む不具合箇所が交換された。しかしそのためのロスは既に3時間…。もう少し手間取っていたら、またフライトがキャンセルされていたかもしれない。そしてアトランタでの乗り換えは、これはもう間に合わないなあ。これは現地に着いてから対応するしかないだろう。 それから羽田のときと同様に、液晶モニタの電源が落ちて再起動することがあった。ははあ、この機体はLinuxを使っているのか。特徴的なペンギンの絵が表示され、リストがだーっと流れていくのも珍しい経験…いやまあこんな経験値、上げなくていいんですけど。 (※後にこの騒ぎを知った知人達からは、成層圏でも雨が降るコースだったのだろうとか、窓から手を出してティッシュで拭けばいいのにとか、いろいろと無茶な冗談が出た・笑) ようやく成田を離陸したのは、最初に羽田で飛行機に乗ってから12時間も経過した頃だ。当初の予定ならば、そろそろデトロイトに着いている時間帯である。最初のデルタ機で食ったパンとお茶以外は口にしていないので腹が減ったわ。 そんな訳で待ちに待った夕食は、ビーフとご飯にブロッコリーなどが入ったものと、サーモンと野菜、そしてサラダとフルーツだった。 このうち、サラダとフルーツはメニューに「季節の…」と書かれている。今では一年中買えるものばかりで、これのどこに季節感があるのか不思議。しかも2月に乗った時と中身が変わっていないな。もしかすると季節感が無くなるくらいに出回っているのは一部の国だけとか、世界中の生産地で「今が旬」という時期を追いかけているから年中OKなのか…などと、出されたものを見てちょっと考えてみたりする。 とはいえ、もう飢餓状態だったので、宇宙飛行士もびっくりの速度で平らげる。おかわりは…無理だよね。 そしてカナダ上空で異変が発生。位置情報を提供していたプログラムが、何か問題を起こしたのか更新を停止してしまったのだ。いつまで経ってもカナダ上空なのでおかしいと思っていたのだが、数値の更新も全て停止していたのを確認し、ようやく不具合と判った。いつアトランタに着くのかが大問題だったのでだいぶ焦っていたのだが、これで着陸予定時刻をディスプレイで確認できなくなったため、かえってあきらめの境地に…。 そして現地時間の18時18分、アトランタ空港に無事に着陸。柴田が乗る予定だったオーランド行きは、もうとっくに離陸(同18時3分)した後だけどな…。 アトランタ空港は、事前に調べた情報の通り、物凄く巨大な空港である。しかも夕刻のためかとても混雑しており、入国審査の列に並んでいるだけで1時間は軽く吹き飛んだ。しかも家族連れが前にいて、審査にやたら時間がかかっている。家族連れの審査に、いつも時間がかかるのは何故だろう? そのあとの荷物受け取りは、既に柴田のトランクがベルトコンベアに乗って回っていたので楽だったが、税関と荷物検査に並んでいる人の列が100メートルはあるのではないかという勢い。標準の乗り換え時間である90分なんて、あっという間に過ぎ去った。 ということで、やっと入国手続きの窓口を通過したが、今度はオーランド空港行きの飛行機を確保しなければならない。どう説明したものかなあと思っていたのだが、ここのデルタ航空の担当者が日本語に堪能だったので助かった。しかし指定された便の離陸まで1時間も無いのか。急がなければ。 荷物をまた預けて、指定されたA1ゲートに大急ぎで向かう。国際線とは正反対の位置と言ってもいいが、移動は地下鉄のようなモノレールなので楽ちん…でもなかった。モノレールを降りてからA1まで行くのに、とんでもない距離があったのだ。いやあ、乗り換え最短90分という規模は伊達ではないなと妙なところで感心する。 ようやく待合室に着き、少し時間があるので携帯電話を使おうとしたが回線が繋がらない。アメリカではAT&Tに接続するように設定しているが、どうも電波が届いていないようだ。レンタカー会社に遅れるって連絡したいのだがなあ…。仕方なくノートパソコンを取り出し、レンタルしたポータブルWi-fiでネットに接続。しかし、連絡方法を探っているうちに搭乗時間になってしまった。まー、確か24時間営業って書いてあったから、なんとかなるだろー。 そしていよいよオーランド国際空港に向けて離陸…しないね。何事かアナウンスがあって停止してしまった。 えーと、英語だから聞き取りにくいがゲートに戻るって!? またかーっ! いい加減、このパターンに飽きてきたぞ。しかし乗った飛行機が全て引き返すとゆーのは珍しいとゆーか、運が悪すぎるというか。 B757は天を仰ぐ柴田を乗せたままゲートに引き返していく。旅にトラブルはつきものとはいえ、三回連続ともなると呆れてしまう。 しかし今回は原因がよく判らない。降り始めている雷雨の影響なのかと思ったが、ドアが開けられて乗客がまた乗り込んできた。どうも別の遅延で乗り遅れた客を拾った感じである。これが最終便という訳でも無さそうだけど、当日中に着くのは最後だろうから配慮したのかもしれないな。 という事で1時間程度遅れてアトランタを離陸。もちろん真っ暗な中のフライトで、外の景色も何もあったものではない。退屈なまま時間が過ぎ、ようやくオーランド国際空港に到着した。いやあ長かった…って、まだ終わっていない! これからタイタスビルのホテルに急がなくてはならないのだ。荷物を回収してレンタカーの窓口に行く。えーと、半日くらい遅れたけれど予約していた者です。 『予約していた車種はもうありませんので、こちらでよろしいでしょうか』(※意訳) 見せられた画像には、フルサイズのSUVが映し出されていた。でっかいねえ、まるでトラックじゃん。運転が大変そうなので他のが無いかと聞いてみたらば… 『これになりますが?』 …レンタル料金が千ドルオーバーのスポーツカーか!。乗ってみたいけど予算的に無理である。しかもこういった高い車は走行距離に制限が設けられている場合があり、できれば避けたいところ。 という事で、最初は断った巨大SUVを借りることになる。料金は予約時と基本的に変わらないのだが、燃料搭載量が倍になっているらしく、そのぶんは割高になってしまう。満タンにしなくても返却できるオプションを選択しているので当然だろう。 まあ、給油して満タン状態で返却するベーシックなプランならば割安なんだけど、うまく給油できるか不安だし、もし深夜に返却する事になれば、安全に給油できる場所を探さなくてはいけなくなるし…。 という事で、駐車場にて借りた車とご対面。…うわあ、すげえでっかい! GMCのYukon(ユーコン)という車で、フルサイズSUVという巨体にV型8気筒5.3リッターの320馬力エンジン、重量は2トンを楽々オーバーするらしいというとんでもない車だ。日本で普通にレンタカーを借りようとするなら、とてもじゃないが考えられないスペックだよなあ。 何かの間違いではと何度も書類を確認したが、本当にこの車のようだ。試しにリモコンを押すとちゃんとロックが解除されるので間違いない。しかしコンピューターの画面から予想していたイメージよりも倍ぐらい大きく感じるぞ。 巨大な車のドアを開けて乗る…というよりも、よじ登るという感じで座席に収まり、エンジン始動。高級車らしく操作系や装飾にスイッチが多く、なんだか操作方法が判らないのだが、以前借りたシボレー・インパラと共通する点も多いので、なんとかなるだろーと思いこむことにする。 ちなみに、ウインカーとワイパー、ライトのオン・オフと、そしてエンジン始動と停止の方法が判ればなんとかなる。そんなことも判らんのかと聞かれそうだが、ウインカーとワイパーが日本仕様と逆なので再確認が必要なのと、ライトに関しては常時点灯でスイッチが別になっている事がよくあり、ハイビームにする方法も再確認した方がいい。エンジンの始動に関しては、日本車でも増えてきたスイッチを押すと始動するタイプで簡単だが、逆に停止するにはどうするかを事前に確認した。 それからSUVという車種からすると四輪駆動だと思うのだが、燃費を考えると後輪駆動の方がいい。どうせ四輪駆動の性能が求められるような場所には行かないし。そのため、二輪駆動に切り替えたい…と思ったけれど、ぱっと見て判るスイッチが無いから放置しよう。そもそも存在するのかすら判らないし、またどうせ滞在期間が短いから、多少燃費が落ちても影響は少ないだろう。それにもともと二輪駆動だという可能性もあるからね。 ところで、この車を最初にネットで調べたときには4.8リッターV8だと思っていた。しかしそれは古いモデルだったので、あらためてメーカーサイトで最新のものを照合したら、なんと5.3リッターV8というエンジンらしいと判った。一応、気筒休止などの省燃費機能が搭載されているらしいが、この排気量では気休めだろうなー。しかも下手するともっと排気量や馬力が大きい上位車種である可能性すら残っている。とにかく、こんな車種を普通に貸し出すとは恐れ入るな。 (※さすがに牽引やオフロード走行はレンタカー会社の規則で禁止しているようだ) さて、どんな感じなのかと探りながら駐車場から走り出す。うわっ、ブレーキが効かない…というより車体が重すぎて急には止まれないのか。うちの車と倍以上も違うのだから、当然だろうな。もちろんブレーキを強く踏めば強力に効くのだが、それではつんのめる感じになってよくない。SUVらしくサスペンションのストロークも長いのではなかろうか。これは少し早めにじわっと踏んだほうがスムーズに走れそうだ。バスを運転したことは無いが、そのつもりでやればいいのかな。 また、迂闊にアクセルを強く踏むと、巨体をものともせず勢いよく加速するので注意が必要だ。 車体の大きさは、柴田が日本で運転している軽自動車などとは比較にならず、まるでケネディ宇宙センターのVAB(Vehicle Assembly Building)に車輪をつけて走らせている気分である。アメリカらしいといえばそうなんだけど、ちょっと感覚がついていけないぞ。 それでもなんとか運転できるのは、車が走りやすいように考慮された道や施設のおかげだろうな。これでアメリカの運転に慣れたら、かえって日本での運転ができなくなりそうだ。つか、このクラスの車を日本でも見かけるけど、あの狭い道路でよく運転できるものだなと感心してしまう。 今回はターミナルAから出発したので何事もなく528号に入り、いつもの料金所を通ってタイタスビルに入る。そしてようやくホテルに着いたのは日付が変わった深夜1時頃であった。飯をろくに食っていないのでホテル付属の24時間営業レストランに入ろうと思い、フロントでクーポン券をもらったのだが、あまりに疲れていたのと翌朝の準備もあったため、自販機で買ったコーラと持ち込んだカロリーメイトで済ませることになる。 あっ、冷蔵庫と電子レンジのオプションを指定していたのに無いぞ。いまさら部屋を変更するのも眠くて嫌だし、ええい今回はここでいいや。 こうして、移動だけなのにえらく長かった7月19日が、いまようやく終わった。ええい、何をどーすればこんな濃い日が出来上がるのだ、誰か教えてくれ(笑)。 羽田空港国際線ターミナル。床の反射が綺麗だった。 翌日に進む 打ち上げ 2011年7月5日 まず都内へ出発 2011年7月6日 三度目のフロリダ 2011年7月7日 RSS開放予定日 2011年7月8日 STS−135・アトランティス打ち上げ日 2011年7月9日 オーランド 2011年7月10日 オーランドからタイタスビルへ 2011年7月11日 休みの日 2011年7月12日 警察博物館 2011年7月13日 ディスカバリー号との再会 2011年7月14日 ビジターコンプレックス 2011年7月15日〜16日 オーランドから日本へ 着陸 2011年7月18日 また東京へ 2011年7月20日 アトランティス帰還予定前日 2011年7月21日 スペースシャトル最後の着陸 2011年7月22日 休養日のはずが観光日になる 2011年7月23日 ケネディ宇宙センター見学ツアー 2011年7月24日〜25日 帰国 メニューへ戻る
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